この遺言は贈与ですか?遺産分割ですか?

公開日:  最終更新日:2017/05/16

遺言・相続ノート25遺言の文言ひとつで遺贈になるの?遺産分割になるの?

 

―最近では、遺言の文言が、少しずつ変化しているようです。

そこで、特定の相続人への「相続とする。」「譲る。」という遺言が有効となるのか、検討してみましょう。

 

これらの「相続とする。」「譲る。」という文言を有する遺言は「遺贈」であるとされていました。被相続人と相続人との身分関係や生活関係・生活費などの経済関係が時代とともに変化し、このような文言を有する遺言が有効なものとして扱われるようになっています。

 

―それは、何故なのでしょうか。

当然に検認という手続きを必要としていることには変わりありませんが、検認自体は遺言書の有効・無効を問う手続きではありません。しかし、自筆遺言証書や秘密遺言証書であれば、「相続とする。」「譲る。」という文言を遺言書に用いる人はいるでしょう。文言だけではなく、被相続人・相続人の家族関係や周りの環境は日に日に変化しています。そのため、遺言による相続が相続人の生活費を資する場合や相続人に障がいを有する者がいた場合、被相続人としては生活に困窮している相続人や障害を有する相続人に「譲る。」とし、また、そのような相続人の「相続とする。」という文言を遺言書として残したくなるのが被相続人としての思いでしょう。そのためか、遺言書の文言が徐々に変化していることがわかります。それだけ有効となる遺言書として認められる文言の範囲が広くなる一方で、相続として有効であるかどうかの判断が難しくなっていると言えるでしょう。

そして、被相続人としては、遺贈をするものとして意思表示したつもりが、判例では遺贈としてはではなく相続の対象とされることもあります。

このような遺言による相続において、他の相続受益者が遺産分割協議に同意した場合は問題とならず、同意し得ない場合は、遺留分減殺請求権の行使を妨げないと平成3年4月19日判決では判断しています。

この平成3年判決は、遺言書によって本来「遺贈」であるとされたものが相続による遺産分割の対象として判断しました。このことは、相続人間の公平を考慮し、生前に贈与した預貯金財産を遺産分割の対象とした平成28年12月判決へとつながるものとして考えても良いでしょう。

 

今まで、遺言による相続は、相続人の意思を尊重するという事が第一にされてきました。そのことで、遺言によって相続人間の争いや不満による訴訟が起こり、「争続」とも言われ、裁判によって解決されても相続人間に禍根が残ります。

このように争いとなる場合は、被相続人の意思の尊重はもとより実質的に相続人間の公平な分担というのを念頭に判断されているようです。

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
PAGE TOP ↑