その形式で大丈夫?危急時の遺言はどのような様式で作成されるの?

公開日:  最終更新日:2017/08/07

遺言・相続ノート35 危急時の遺言は、どのようして作成するの?

 人は、どのような人生の終わり方を望んでいるのでしょうか。突如として事故に遭い、急に病に倒れることもことがあるでしょう。今では「終活」という言葉が生まれるほど、現代の人たちは、「死」というものに向かい合うようになりました。

 遺言を行うことは、「死」にむけた準備としての「終活」の一つといっても過言ではないでしょう。今日においては、超高齢化社会は、子供が生まれる数が少ないこともありますが、多死社会とも、言えます。また核家族化がすすみ、一人暮らしの方の孤独死が注目されています。そのような社会の中で、危急時における遺言の要件について、判例を通じて、考えていきます。

 危篤に陥るなどの危急時の遺言において、その遺言の要件が問題となった裁判例として、昭和47年3月17日の最高裁判決があります。Aが口授にて遺言を行った日と、遺言内容を清書しAに確認した日、遺言を作成した証人B、C、Dの捺印を行い、加除訂正を行った日が、遺言の作成日付と異なっていることが問題となりました。

 最高裁は、遺言の日付要件の意義と加除訂正の方式における加除訂正の程度について言及している。危急時の遺言作成においては作成日付の記載の正確性は重要な要件とならないことと、加除訂正の方式に欠けていたとしても、危急時の遺言作成において遺言者の意思を確認した後であっても、遺言者の意思が意図するところを変更するような加除訂正でなければ、他の要件を満たしていることで遺言の効力に影響はない、と判断しています。

 

 危急時でなくとも、加除訂正について、誤記の訂正であれば、「遺言者の意思を確認するについて支障がないものであるから、右の方式違背は、遺言の効力に影響を及ぼす者でないと解するのが相当である」としています。自筆遺言証書であれば尚更、誤記の可能性はあり、昭和56年の判決においては、誤記を加除訂正した遺言を方式違背として直ちに無効とするものではない、としています。

 危急時の遺言の要件として、

①疾病その他の事由によって死亡の危急に迫っていること

②証人が三人以上

③遺言の口授を受け、筆記し証人に読み聞かせ

④署名捺印を行うこと

⑤口授が行うことができない遺言者については通訳者により申述すること

が挙げられています。平成11年9月14日判決においては口授の有無が問題となっています。

 以上のことより、危急時の遺言において、作成日付の記載が最優先される要件ではなく、危急時であるからこそ、遺言の口授と遺言の書面作成に時間差が生じてしまうことは否定できないことを理由として、考えることができます。

 危急時における遺言を行うにしても、三人以上の証人必要であるという、この要件からも、人と人のつながりが必要となります。人は一人でありながら他人とつながり、社会の中で人生の幕をおろすことを忘れてはならないでしょう。

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