不動産財産が相続財産に含まれない?その不動産が配偶者の財産となるのは、どんな時?

公開日:  最終更新日:2017/08/21

遺言・相続ノート36相続開始によって、なぜ配偶者は優遇されるの?

 平成29年7月18日法制審議会の部会において、遺産分割の方法を見直す試案の検討が行われました。その中で注目されたのが、被相続人の配偶者に、被相続人が残した不動産の居住権についてです。被相続人と20年以上連れ添った配偶者が居住していた不動産について、残された配偶者の居住権を認めるという案です。

次に、例を挙げて検討していきます。

被相続人に配偶者と子一人がいます。この被相続人と配偶者の婚姻期間は21年と1ヶ月です。そして、被相続人には居住用の不動産、その価格2000万円であり、そして預貯金1000万円がありました。では、法定相続分に従った遺産分割が行われたとしたら、どのように分割されるのでしょうか。

 

現行の法定相続にしたがった場合、配偶者と子の1/2ずつ持分の共同相続を行い、預貯金を500万円ずつ相続することになるでしょう。配偶者がこの住居である不動産に居住し続ける場合、その居住によって得る利益は、子に対しての不当利得とはなりません。しかし、子の合意がない場合、子の持分に応じて共同相続人である子に金銭を支払うことになることがあります。

 

このことからも、配偶者が、相続の開始後も引き続き居住するためには、子である共同相続人の同意が必要となります。しかし、試案によると、居住用不動産が遺産分割財産の対象から外し、被相続人の贈与の意思と20年以上の婚姻期間の要件を満たしていれば、配偶者は、その居住権を得ることとなります。ということは、20年以上の婚姻期間があるだけではなく、被相続人が居住していた不動産を配偶者に生前贈与または遺言が必要となります。被相続人が残された配偶者に居住していた不動産を残す意思がなければ通常の遺産分割が行われることとなります。

 

通常、夫婦の住まいである不動産が自己所有の場合、夫または妻の単独所有であるか、もしくは夫婦の共有財産であることが多いでしょう。現在、離婚率は2002年をピークに下降しつつありますが、婚姻率も同時に下降していることから、一方的に離婚率が下がったとは言い切ることはできません。そこで先述した施策は、婚姻継続の推進・離婚の予防策とも考えられます。また配偶者が専業主婦(夫)であったとしても、相続の対象となっている不動産は、夫婦が共同で作り上げた財産であることを認め、残された配偶者の生活の安定を図る目的とされています。

 

配偶者が亡くなり他の配偶者が居住権を得るために20年以上の婚姻期間継続とともに被相続人の意思が必要であるという要件において、もう一つ考えられる理由を、次回のノートにて記載していくことにします。

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