事業承継または合併における財産承継は株式会社のみが問題になるのか?

公開日:  最終更新日:2017/11/27

遺言・相続ノート43無形財産である個人情報データは、民間会社だけではなく非営利法人や非営利団体等においても承継財産となるのか?

 

合併などにより事業承継が生じた場合、事業承継の財産は、その財産承継の主体によってその財産が引き継がれるのか否かを無形財産である個人情報データを例に、ここで検討します。

個人事業主の財産承継と法人の財産承継において、ケースを区別する必要があります。そしてさらに、法人ではない団体である自治会などの非営利組織に関して検討します。

個人事業主は、事業の継続が事業主の力量に左右され易く、事業主が事業を継続するための費用は個人事業主の個人的財産として、通常の相続の対象となります。

しかし、法人は、法人格に基づいた権利義務関係の主体であり、それは権利・義務を継続的に有する主体とされています。そのため法人に関わる権利・義務すべてが承継財産と考えられます。

先回のノートでは、会社の人材や顧客、そして無形である顧客の個人情報をも承継財産としました。では、先回のノートで問題とした個人情報データは、どのような法人の形であっても、また法人ではない団体であっても承継することができるのでしょうか。

平成29年5月に改正された個人情報の保護に関する法律(以下「改正法」)では、営利法人または非営利法人である法人だけではなく、法人ではない団体である自治会などの非営利組織もまた改正法の対象となり、個人情報データを引き継ぐことができることとなりました。また法人の種類や法人ではない団体であるか否かにかかわらず、その団体が収集することができる個人情報データは、各々の定款や会則に基づきます。

そして個人情報の漏洩の予防と最低限の個人情報の収集・継続的な保有を前提とした、個人情報データの承継を行っていくことが考えられます。それは、法人の定款に定められた目的に基づき、顧客本人の同意を得た個人情報のみを企業側は取得できることを意味しています。しかし、合併や組織再編にともなう定款変更が行われた場合、団体の目的にあわない個人データの処分方法についても、あらかじめ考慮しておく必要があります。

自治会等の団体も、個人情報データの取得や保持などについて改正法の対象となりました。しかし、自治体等においても、その組織における会則を有していることから、会則に定められた非営利組織の目的に応じて、本人の同意を得ることができた個人情報のみを取得することができます。

自治会等の団体において、その団体が所有する財産を承継するにあたって、問題となる点があります。

無形財産である個人情報データの承継について株式会社のような組織は必要に応じて専門家を頼ることができます。しかし、非営利組織である自治会等の組織は、専門知識を必要としているにもかかわらず、専門家との距離が遠く、自ら解決することを求められているのが現状です。改正法のみの問題に限らず、多くの人が専門家を必要としています。

そしてまた、非営利組織である側も、自らの力だけで解決しようとは思わず、開かれている専門家の扉の戸を自ら開く必要があります。

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