大家となった相続人!家に居住する別の相続人は家賃を支払うべきか?

公開日:  最終更新日:2017/06/12

遺言・相続ノート31共同相続人が大家になった!その家に住む相続人の居住は不当利得なのか?

 

ある日、突然、配偶者が亡くなった際に、同居していた家族や別居している家族、他の相続人は、被相続人が所有していた家や土地の共同相続人になることがあります。法定相続分にしたがって相続を行うと、その相続分に応じて共同不動産についての持分を所有することになります。当然、同居している家族にも持分が分与されます。

 しかし、被相続人と同居していた家族が、被相続人が亡くなり相続が開始した後、どのような法的根拠をもって、今まで住んでいる建物に今後も居住することができるのかが、問題となりました。そこで相続が開始し、実際に相続分割が行われるまでの間について考えてみます。

 

被相続人と同居していた家族が、被相続人が亡くなり相続が開始し相続分割が行われるまでの間、平成8年最高裁判決は、相続開始前から被相続人の許諾を得て同居している場合は、同居の相続人に無償で使用させる旨の合意があったと推認できる、としています。

それは、他の相続人が建物の貸主となり、同居していた家族が借主となる使用貸借契約が存続する、としています。この平成8年判決の第1審と控訴審裁判所においては、相続財産となった建物と敷地である不動産について、被相続人の遺言は、遺産を分割する方法を定めたのではなく、相続分を指定したに過ぎない、としました。

そのことが意味するところは、遺言によって不動産である建物と敷地を分割することを認めたのではなく、相続人の持分を決めたというところだと理解できます。建物と敷地を共有し、単独で占有するにあたっては、占有使用していない共有者との無償使用の合意がない場合は、占有することで利益を受けている分は、金銭をもって占有使用していない共有者の持分に応じて返還するように、としています。

昭和41年判決においては、建物の過半数の持分を有しない者でも他の共有者の合意があれば、単独で占有することができる、とも理解できる控訴審判決があります。そして、過半数の持分を有していたとしても、居住している者に対して、正当な理由なくして明け渡し請求を行うことはできない、としています。

平成10年判決では、明らかに、単独使用を行うことの合意が建物の共有者間であれば、合意が変更された、共有関係が解消されるまでの間は、共有物である建物に居住することが可能であるとしています。また一歩進んで、居住することによる利益を得ている相続人は、共有持分を有している相続人ついて不当利得返還義務を負わない、としています。

 以上のことは、相続法制改正案による被相続人亡き後の配偶者の居住権や、中小企業の事業継承権における遺留分減殺請求権にもつながる問題として、今後参考になることでしょう。  

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