相続放棄の効力は?いつからどのような効力が生じるの?

公開日:  最終更新日:2017/09/18

遺言・相続ノート38 相続放棄は相続の開始から相続が無効となるの?

 被相続人の財産を相続人の一人が相続放棄した場合、相続放棄の意思表明をしたときから、その効果が生じるのか、それとも相続が開始されたとき、つまり被相続人がなくなったときまで遡って効果が生じるのかを判断した最高裁判所の判例があります。その最高裁昭和42年1月20日判決は、被相続人が亡くなった時つまり相続が開始された時まで遡るとしています。

 この昭和42年判決は、相続放棄を行う前に他の相続人とともに相続不動産において仮登記を行ったが、その相続人の一人の相続放棄によって、登記が無効となった事例です。

 

相続の開始は被相続人の死亡時であり、法定相続人や遺言による相続人、特定縁故者など、死亡時の相続関係によって、相続人が確定するからです。相続人としての地位が確立し、相続人が相続放棄を行うか否かの意思を明らかにすることができます。

従って、相続が生じる前に相続を放棄する意思表明をした場合はどうなるのかを検討していきます。例えば、相続を放棄する意思を明らかにしたとしても、その人が法定相続人の地位が明確になっていないことから、相続人の地位が確定するまでは、無用の意思表明となります。

次に、遺留分の放棄について考察します。相続放棄とは異なり、遺留分の放棄は相続の開始前に行うことが可能です。しかし、遺留分の放棄にあっては家庭裁判所の許可を必要としており、その理由として挙げられているのが、相続人の意思に基づかない遺留分の放棄を防ぐためとされています。いま一度、遺留分が何故規定されたのかをみてみましょう。

相続財産は、被相続人が遺言によるなどして、財産を相続人は財産を相続することができます。遺留分制度があるのは、被相続人が遺言によって法定相続人以外の第三者に財産を譲り、法定相続人に財産は残されず、法定相続人が生活を維持できなくなるのを防ぐためとされています。

 それとは異なり、相続する権利は、財産を一緒に築き上げたことによる清算と生活の保障とも言われています。相続財産となった財産は被相続人だけではなく、相続人である人たちの協力のもとで財産を築き上げたという考え方があります。そこで被相続人が亡くなった後、財産を築きあげるのに協力した人たちに分配しよう、というのが相続の基本の考え方です。

しかし、遺言は、被相続人の意思に基づいて財産を分けることとなり、法定相続人の意思や相続の基本的な考え方が反映されづらくなります。

以上のことからも、相続における遺言による相続と遺留分の趣旨が異なっていることがわかります。相続放棄と遺留分の放棄を行うことができる時期が異なっているのは、制度の趣旨が異なっていることが関係しているといえます。

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