預貯金財産は遺産分割の対象になるー平成28年判例変更

公開日:  最終更新日:2017/05/18

遺言・相続ノート24預貯金財産の相続について最高裁判例が変更ー平成28年12月

この平成28年12月19日に、預貯金財産が遺産分割の対象へと判例変更が為されました。それは、以下のような判例です。被相続人Aに養子縁組をした2名の甲乙がおり、預貯金を被相続人と養子縁組をした乙の親が生前贈与された預貯金が特別受益として遺産分割の対象とする、としました。

 

判例変更のポイント

1.相続財産において、被相続人の生前に贈与された預貯金は遺産分割の対象となる

2.相続財産における、預貯金財産は可分債権ではなく1つの債権である

 

1.相続時は、この生前贈与をした預貯金分は、今までの判例からは遺産分割の対象とされず、残った預貯金と不動産が相続財産として分割または共同相続の対象としていました。

それでは、生前贈与などをされなかった相続人と贈与された相続人の間に不公平が生じるため、判例を変更し、相続発生以前に贈与された預貯金も遺産分割の対象とするとしました。

 

2.相続財産としての預貯金は、その残高が変動しつつ零となっても存続し、入金が為されれば、また預貯金債権として発生するという1個の債権として同じものとして保持されます。それは、共同相続人全てによって解約されない限り、各相続人に分割されることはなく1つの債権として存在している、とされました。

 

以前の判例では、この預貯金の債権について1つの債権ではなく可分債権とされていました。

判例変更前の判例である平成16年4月20日判決において、共同相続人の一人が相続財産のうちの可分財産である預貯金を解約し、相続分以外の預貯金を払い戻しした際、他の相続人は不当利得として返還請求を、預貯金の解約を行った共同相続人に行うことができるとしています。

このことは、返還請求に応じることで共同相続人の一人が行った相続開始時の預貯金財産を解約することができ、相続開始時の預貯金において相続分に応じて分けることが可能である、と言うことができるでしょう。

相続開始時に、預貯金等の相続財産が分割されるのではなく、この平成28年12月の判例では、預貯金債権は可分債権ではなく1つの債権であり、相続開始時の預貯金だけではなく、それ以前の贈与等も含めて遺産分割の対象となると判例変更をしました。遺産分割の対象とならないとした原審の決定を破棄し、もう一度、審理をするよう原審に差し戻しました。

 

以上の判例より、養子縁組をしたことや生前贈与をしたことが、後々の相続に影響を及ぼすことは明らかです。被相続人が死亡した時より相続が始まるとされていますが、以上のことより、相続人が養子縁組によって増えることや相続人になるはずであった配偶者の死亡など、実際に相続が生じるまでには、様々なことが起こり得ます。

そのような相続関係に変化があった時や相続人となる者の生活を資する生前贈与を行う必要があった時などに遺言作成を行う際、全ての相続人が納得いく遺言作成を行う必要があります。公正遺言証書では、遺言の存在が第三者により認識されており、偽造や変造の心配がありません。上述してきた機会が、公正遺言証書を作成する良い機会と言えそうです。

 

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