個人事業主である開業医の相続において承継する財産は?

公開日:  最終更新日:2017/12/25

遺産・相続ノート45税制改革に伴う個人医療機関への地域医療機関としての期待

― 一般財産編 ―

 

2016年厚生労働白書によると、一般的な相続のピークは20年後に迎え、減少していくことが見込まれています。すでに多死社会とも言われており、すでに、2015年には、高齢化に伴い、死亡数が人口における129万人である1%に達しています。2014年末には、すでに個人診療所または法人の約2割弱の代表者自身が、2018年の税制改革の時点で、後期高齢者である75歳前後にあたるであろう、とされていました。

また代表者の高齢化に伴う相続で、跡継ぎの問題だけではなく税制面からも、地域医療への期待が不安な状態へと変化する状態でした。しかし遺産・相続ノート44でも記述したとおり、2018年税制改革の厚生労働省から国への要望が実現した場合、地域医療の活性化とは言わないまでも、明るい兆しが見えてくることでしょう。

ここでは、はじめに個人クリニックの承継財産のひとつである不動産と動産についてふれ、国が求めている地域医療について検討を行います。

例として、個人が開業し診療を行っていた場所で、次の開業医または個人開設医療機関が引き継ぎ、経営を行う場合について検討します。医院が自宅兼診療所の場合、診療所が所有不動産である場合、診療所の不動産が賃貸の場合に分けることができます。

2013年の税制改革において、小規模宅地等において居住スペースと事業用スペースとを併用している場合、居住用宅地の限度面積を拡大し、相続の減額が行われました。医療が高度化しているとはいえ、地域における個人開設医療機関では、最新の医療機器を導入することは機器の通常の耐用年数等を鑑みると、難しいでしょう。

しかし、個人開設医療機関に跡継ぎがおり相続が開始されるとなったとしても、財産の承継が税金の面で阻まれることで、医療事業の継続性や地域医療への信頼性を損ない、反対に、社会的な損失ともいえます。そこで上記の当該要望へとつながったと考えられます。地域から必要とされている医療機関であること、5年以上の継続の見込みがあることを要件に相続時において納税が猶予され、次世代への医業承継が行われれば免除が遡及する、という内容となっています。

そのことは次世代の育成と地域に密着した医療が、まさに社会的財政の支出においても必要とされている、ということです。診療所が所有不動産である場合、売却もしくは賃貸によって不動産も動産も、次の開業医が財産を承継します。しかし、次の個人医療機関が不動産を賃貸にて事業経営を行うということは、事業の継続を図っている、とも言えます。

そして、地域からの信頼・地域との密着度が所有の場合と比較して低いとも言え、国の地域医療への期待に応えるまでに時間を要することは、必然と言えるでしょう。この税制改革において、地域における個人開設医療機関の承継に託された期待は、地域において信頼に基づいた医療が継続されること、と置き換えることができます。

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