現社長から次期社長が受け継ぐべき財産とは形ある財産だけなのでしょうか?

公開日:  最終更新日:2017/11/13

遺言・相続ノート42事業承継において承継できる財産とは有形財産だけなのでしょうか

合併による事業承継において次に引き継ぐ財産とは何が考えられるでしょうか。会社所有の不動産、金銭財産、債権・債務、会社所有の動産である物品そして会社の人材である社員、顧客・事業経営に関する権利等が考えられます。しかし、その他に事業承継において受け継ぐことができる財産は、他にもあるのでしょうか。

そこで、今回は、無形の財産として考えられる顧客情報すなわち個人情報データを取り上げ、事業承継の対象となるのかを考えていきます。個人情報の他者への提供について規定している改正個人情報の保護に関する法律(以下、「改正法」)が平成29年5月に施行されましたが、その顧客情報である個人情報データは、事業承継毎に、本人の同意なくして引き継ぐことができるのでしょうか。

改正法における第三者への個人情報の提供についての規定を見る限りでは、事業承継の場合などは、公共性と緊急性が高いとは言えず、容易に個人情報に関するデータを引き継ぐことができません。しかし、それでは、合併先や事業を引き継ぐ者は、個人情報の提供を受けることができず事業を継続することができなくなってしまいます。

そこで、改正個人情報保護法は、個人情報に関するデータの第三者への提供の例外を設けており、合併や事業承継に伴ってデータを提供する場合は、提供先を第三者とはしないで、合併先や事業承継を行う者に個人情報を提供することを認めています。

そのことは、事業の承継を受ける者は、事業承継における顧客情報すなわち個人情報データ提供を受けることに本人の同意を必要としない第三者であるとしています。事業承継によって顧客情報を引き継ぐ者が第三者ではないとされていることは、以下のことを意味しています。合併や事業承継が行われる時点で、合併する事業所と合併される事業所、事業を引き継ぐ者と引き継がれる者は、事業承継の時点で、財産を引き継ぐ当事者であるとみなされている、と言うことができます。

このことから顧客情報である個人情報のデータは、合併や事業承継にともなう個人情報データの提供は本人の同意を得る必要がなく、事業承継における財産に当たるとも言えるでしょう。合併や事業承継によって引き継がれる財産には、無形とも言える顧客情報である個人情報が含まれる、という結論になります。

次回では、個人情報の引き継ぎを例として、財産を引き継ぐことができる者ついて述べていきます。

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
PAGE TOP ↑